四日市で会社破産をお考えの方へ
1 四日市の方の会社破産に関するご相談
当法人では、会社破産に関するご相談を承っております。
借金や会社経営に関するご相談を得意とする弁護士がご相談に対応いたしますので、安心してお悩みをご相談ください。
弁護士法人心 四日市法律事務所は、近鉄四日市駅から徒歩1分という、ご相談にあたって非常に便利な立地にあります。
会社破産のご相談をご希望の方は、まずはお問い合わせください。
2 会社破産はタイミングが重要
経営が困難になり会社破産を行う必要が生じた場合、取引先への影響や従業員への影響など様々なことを考慮する必要があります。
破産による影響を可能な限り小さくするためには、タイミングを考慮して手続きを行うことが重要です。
3 会社破産をお考えの場合は弁護士にご相談ください
会社破産をする必要がある、あるいは、資金繰りが苦しく会社破産すべきかどうか悩んでいるという方は、まずは弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
会社破産の手続きを得意とする弁護士にご相談いただくことで、現状を見て会社破産の必要があるかどうか、するとしたらどのような流れでするのが適切かということについてアドバイスを受け、しっかりと検討して進めていくことができるようになります。
会社破産にあたっては取引先や従業員といった関係者への説明も必要になるため、お悩みになる方も多いかと思います。
この点についても弁護士にご相談いただくことで適切な対応をとることが可能です。
当法人が会社破産のご依頼の対応を得意とする理由
1 経験豊富な弁護士による対応
会社の破産は、個人の破産とは異なる対応が必要なことも多く、相談から申立までスムーズに行うためには、会社破産に精通した弁護士が対応するのが望ましいです。
弁護士法人心では、裁判所から選任されて破産手続きを進める破産管財人の経験のある弁護士や、倒産実務委員会の委員をしている弁護士など債務整理に精通した弁護士が所属しています。
また、事件の種類によって弁護士の担当制をとりいれているため、債務整理に特化し、会社破産の申立を多く取り扱ってきた経験豊富な弁護士が対応させていただきます。
2 多数の所属弁護士と全国にある拠点
多数の弁護士が所属している弁護士法人心では、債務整理を担当している弁護士同士の研究会も行っており、それぞれが扱った事件の知識やノウハウを共有しています。
弁護士法人心では、名古屋・東京・大阪等全国に拠点があることから、管轄の地方裁判所によって異なる手続きの内容も内部で共有することが出来、例えば現在は名古屋市に居住しているが、本社所在地が東京都の会社破産をしたいといったケースでも対応が可能です。
一概に会社破産といっても、管轄の裁判所によって、必要な資料や運用が異なる部分がありますが、それぞれの地域に専門の弁護士が所属しているため、手続きをスムーズに行うことができます。
また、大規模な会社の破産の場合に、複数の弁護士が共同で担当することで、スピーディーな申立や、関係者への対応を行うことが出来ます。
3 関係者への丁寧な対応
会社破産では、従業員、金融機関、仕入先、顧客など多くの異なる立場の方々が関係してきます。
破産の申立後は、経営状態を悪化させてしまったとして代表者個人の責任を追及されることや、実際に関係者が会社や代表者の自宅等に押し掛けて騒ぎになるケースもあります。
弁護士法人心では、今まで多くの会社破産を取り扱ってきた豊富な経験から、それぞれの関係者の立場に合わせた内容の通知を送ったり、従業員に対して説明会を行うなどして、混乱を最小限に抑え、できる限り関係者ともめないような工夫をしています。
4 社会保険労務士や税理士との連携
弁護士法人心が所属する心グループには、社会保険労務士法人や税理士法人もあります。
会社破産では、従業員の方々に対する離職票や源泉徴収票の作成や解雇予告手当等の計算が必要になることもあります。
特に従業員に対して未払い給与がある場合は、未払賃金立替制度を申請できるように準備し離職票や源泉徴収票の作成をスムーズに行う必要があります。
弁護士法人心では、弁護士だけでなくグループ内の社労士・税理士と協力することで、スムーズに手続きを進めることが可能です。
会社破産で注意すること
1 特定の債権者だけに返済してはいけない
多くの債権者の中で、親族や知人、懇意にしている取引先には会社の破産によって迷惑を掛けたくないという思いから、特定の債権者にだけ返済を行いたいという社長さんは多いかと思います。
しかし、破産手続きでは、全ての債権者を平等に扱うことが原則であり、特定の債権者にだけ返済を行うことは偏頗弁済(へんぱべんさい)として否認権行使(破産管財人が優先的に返済を受けた方から取り返すこと)の対象となります。
それによって、かえってその債権者に迷惑を掛けてしまったり、否認権行使により破産管財人の業務が増えることで、破産手続きを長期化させてしまう危険があります。
また、抵当権が付いた不動産や、所有権留保の設定がある車等、従前から担保に差し入れていた場合は別ですが、特定の債権者に、代物弁済として会社の備品や車、在庫商品といった動産を渡す行為も偏波弁済にあたります。
リース物件や、顧客等からの預かり品であっても、自己判断で返却を行わず、破産管財人が決まってから破産管財人に対応をしてもらうのが無難です。
2 財産を隠したり、不利な条件で処分をしてはいけない
会社破産では、会社名義の財産はすべてお金に換えて債権者に平等に分けなければなりません。
会社の財産を故意に申告しなかったり、親族の名義に変えてしまったり、不当な金額で売却してしまったりといった場合、破産管財人に取り返されるだけでなく、会社代表者が刑事罰や損害賠償請求を受ける可能性がありますので、ご注意ください。
破産費用捻出等のため、事前に財産を処分する場合は、売却金額の設定や売却先が適切であることが証明できるよう、相見積もりを取る等、慎重に処分を行いましょう。
3 会社破産をすることは人に話さない
会社破産では、廃業前には役員や親族といったごく限られた人にしか破産をすることは話さず進めるのが、トラブルなく手続きを進めるための鉄則です。
準備段階で破産をすることが債権者や取引先、従業員等に知られてしまうと、預金や売掛金が差押えられたり、取引が打ち切られて申立のスケジュールに影響が出たり、混乱した債権者や従業員などによって会社のお金や備品等を持ち出されてしまったりといったことが起こりえます。
それによって、費用が確保できず、会社破産が出来なくなる可能性もあります。
4 施錠や物の管理を厳重にする
会社破産では、廃業時の混乱から、会社の財産や資料が無くなってしまうというケースがありますので、事業施設はしっかりと施錠し、しっかりと物品の管理を行いましょう。
以前から警備サービスを利用している場合は、破産申立後の利用継続もご検討ください。
特に破産申立が債権者等に知られた後は、備品や在庫商品などの盗難にも十分に注意が必要です。
また、従業員が管理している社用車、鍵、社用携帯といったものについても、廃業時に必ず回収しましょう。
5 相談のタイミングを見誤らない
会社破産をするには、弁護士費用や裁判所に納める保管金といった費用がかかり、会社の規模等によっては、数百万円の費用が必要となります。
完全に会社の資金繰りがショートしてしまうと、費用が捻出出来ず、破産が出来ず夜逃げせざるをえないというケースもあります。
まだ会社破産を迷っているという場合でも、まずは早い段階で一度弁護士にご相談ください。
会社破産ができないケース
1 支払不能と認められない場合
会社が破産をするには、基本的に裁判所に支払不能の状態にあると認められなければなりません。
支払不能の状態とは、債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものについて、一般的かつ継続的に弁済をすることができない客観的状態にあることをいいます(破産法2条11項)。
もし、会社に多額の負債があったとしても、預金や保険等簡単に現金化できる資産で支払いが可能であると判断されると、支払不能な状態とはいえず、破産することができません。
ただ、破産法に、決算書上負債額が財産額を上回る、いわゆる債務超過であると、支払不能と推定する規定があるので、支払不能でないといわれるケースは少ないです。
2 費用が用意できない場合
破産事件では、弁護士に支払う費用のほか、裁判所に納める予納金が必要となり、会社破産の場合は個人破産と比べてどちらも高額になります。
実際に事業継続中の会社では、取引先や関係者にできる限り迷惑をかけないために、破産を決断してから申立てまでスピード感が必要になり、費用の分割払いはできないのが通常です。
申立までに手続きにかかる費用の全てを用意しなければならないため、破産をする決断がついていない場合でも、会社が完全に資金ショートする前に破産申立を決断する必要があります。
3 破産の申立権がない場合
会社破産では、通常その会社の取締役全員が破産申立に同意して行うことになります。
取締役同士の意見が対立していたり、登記簿上取締役に名を連ねているものの現在連絡が全く取れない状態の方がいるという場合、取締役全員の同意を得るのは困難です。
上記のようなケースでは、準自己破産といって、取締役が1人でも会社の破産申立ができる方法がありますが、取締役でない従業員等の場合は申立ての権利がありません。
4 不当な目的で破産申立がされた場合
破産法第30条第1項第2号では、「不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき」には破産ができないとされています。
どのようなケースが上記あたるかは、最終的には裁判所が判断することになりますが、親族や懇意にしていた取引先にのみ債務の返済を行ったり、会社の財産の隠蔽や不当な処分を行った場合、破産ができない可能性があるとされています。
破産手続きでは、債権者に平等に会社の財産を分けるのも目的ですので、一部の債権者のみ優遇したり、会社の財産を故意に減らした後に破産するのは、制度の趣旨に反しているからです。
5 まとめ
会社破産では、廃業や申立のタイミングの決定が重要となります。
事業資金が底を付き、不適切に財産を処分してしまうと、破産申立ができないということになりかねません。
会社の資金繰りがつかなくなりそうな場合は、破産まで検討していなくても、早い段階で会社破産に詳しい弁護士に相談されることをおすすめいたします。
会社破産の手続きの期間
1 相談から申立まで
事業を継続している会社の破産の場合、廃業のタイミングの決定が重要となります。
弁護士との打ち合わせを重ね、売掛金の入金日、従業員の給与や取引先への支払日などの資金繰りを考えながら、破産手続きにかかる費用を確保し、廃業と同時に破産申立を行うのが通常です。
弁護士が早急に廃業及び破産申立を行う必要があると判断し、費用や必要書類等の準備の目途が立てば、最初の相談から1~2週間程度で破産申立を行っているケースもあります。
初めての会社破産であればなおさら、タイミングを計ることも難しいと感じる方がほとんどかと存じます。
状況に応じて弁護士が最適なタイミングをご提案させていただきますので、ご安心ください。
2 申立から開始決定まで
会社破産は、原則管財事件という複雑な手続きとして扱われることになります。
管財事件とは、破産管財人という弁護士が裁判所から選任され、破産会社の財産の管理・処分・換価・場合によっては債権者への配当を行うというものです。
申立直前まで事業を継続していた会社の場合、破産会社の財産の散逸を防ぐため、早期に破産管財人を選任する必要があり、申立から1ヶ月以内に開始決定が出る場合がほとんどです。
3 開始決定後
破産手続きが開始された後は、破産管財人が破産会社の財産を調査し、換価出来るものは換価し、その結果も踏まえて配当が可能であれば債権者に配当を行うことになります。
その間、3ヶ月に1回程度の頻度で、破産管財人が債権者に向けて進捗状況を報告する債権者集会が開かれます。
債権者集会には、原則代理人弁護士も同席いたしますので、ご不安な点等あればその都度お気軽にお問合せください。
4 破産会社に目ぼしい財産がない場合
破産管財人の調査の結果、破産会社に目ぼしい財産が無く、債権者への配当が行われない場合、2回目の債権者集会では手続きが終了することが多いです。
その場合、開始決定から手続き終了までの期間は6ヶ月程度です。
5 配当が行われる場合
破産会社に財産が多くあり、配当が行われる場合、すべての財産を処分・換価するのに時間を要します。
不動産を売りに出しても買い手が中々見つからないケースや、売掛金を約束通り支払わない業者に対し、裁判を起こして差押えを行うことで回収するというケースなどでは時間がかかり、長いと開始決定から手続き終了まで1~2年程度かかることもあります。
破産する会社にどのような財産があるか、どれくらい複雑な事案かによって手続きにかかる期間は大きく異なります。
ご自身が経営されている会社を破産するとどのくらい期間がかかるのか、会社破産のご相談いただいた際には、弁護士からおおよその見通しをお話しさせていただきます。
会社破産について専門家に相談するタイミング
1 会社破産を専門家に相談するタイミングが遅れると、選択肢が狭まる
会社破産の相談に乗っていると、弁護士に相談するのが遅すぎると感じるケースがよくあります。
会社破産の場合、個人破産の場合に比べ、多数存在するであろう取引先・債権者や、当該会社で働く従業員らの生活など、会社が破産することにより与える影響は多大なものになります。そのため、会社破産をするタイミングというのは重要となります。
しかし、完全に事業がとまって、従業員にも取引先にも払えなくなった後や、税金や債権者に売掛金の差押えを受けた後にご相談に来られる方もいらっしゃいます。
もちろんこのタイミングになってから相談してはいけないというわけではありません。
ただ、従業員や取引先にも払えなくなった後では、多大な迷惑がかかりますし、もっと早く相談に来られていれば事業を続けられたかもしれないのに、破産以外選びようがなくなっています。
税金や債権者に売上を全部差押えでとられると、会社破産に必要なお金も準備できなくなり、結局会社破産ができないケースもあります。
このように、会社破産を専門家に相談するタイミングが遅れると、選択肢を狭めてしまいます。
そこで、会社破産を専門家に相談するにふさわしいタイミングをお伝えします。
2 金融機関から融資を断られたとき
金融機関に申し込んだ融資を断られるのは、すぐに資金繰りがつまる原因になりますし、返済するのが難しいと思われているから断られることになります。
そこで、次の資金繰りをどうするかや、実際返済ができなくなればどうするかを専門家に相談すべきタイミングであるといえます。
3 もうすぐ返済や経費の支払いが遅れそうなとき
今は返済や経費の支払いが約束どおりできているけれども、たとえば来月には約束どおり支払いできなくなるとすると、来月には何らかの対応が必要になります。
その前に会社破産の専門家に相談して対応策を検討する方が、とれる方法も増えます。
4 赤字続きのとき
赤字が何年も続いているのであれば、貯金がなくなったときか、融資が受けられなくなったときには事業が続けられなくなります。
そうなる前に会社破産の専門家と対応策を検討するのがよいでしょう。
5 事業をやめようと思ったとき
会社の事業をやめようと思うと、通常は、会社に残っている財産をお金にかえて、債権者に支払いを済ませなければなりません。
現金預金が十分あって問題なく支払いを終えられるならよいのですが、財産より支払わなければならないものの方が多い場合は、会社破産を検討することになります。
6 余力があるうちに
以上のように、いくつかのタイミングを挙げてきました。
ただ、会社破産するにも費用がかかります。弁護士費用のみならず、予納金といって裁判所に納める費用も必要になります。
予納金が納められない場合、そもそも破産手続開始決定が出されず、破産手続きが法律上始まりません。
そのため、以上挙げてきたタイミングの事情が少しでもある場合、早めに、できれば金銭的に余力があるうちに、相談されることをお勧めします。
金銭的に余力がなければ、破産手続きすら行うことができないといったことになりかねないためです。
会社破産を相談する際に必要な資料
1 直近2年分の決算書
会社破産の相談で最も重要なのが、決算書です。
会社破産の相談では、弁護士は、最初に会社の現状を把握する必要があります。
どのような業種で、毎月の売上や利益はどの程度か、事業所はどこにいくつあって、お客さんや取引先がどれくらいいるか等です。
このような情報の多くが決算書にのっています。
直近2年分の決算書は、実際裁判所に会社破産の申請をする際に提出します。
また、最新年度ともう1年前を比較することで、どの程度変動があるかを見ることができます。
今後収入支出のバランスがよくなりそうかも分かりやすくなります。
2 最新記帳した通帳
通帳には、会社のお金の流れの多くが表れています。
たとえば、銀行やリース会社への支払いが出ていれば、その銀行からの借入やリース会社からのリースを受けていると分かります。
また、毎月何日にどこから売上が入金されるかを見ることで、会社の資金繰りがどうなっているかを把握することができます。
3 借入の契約書・返済予定表・請求書等
会社破産は、払いきれないほどの借金があるから相談に来られるのが通常ですから、どこにどれくらい借入があって、毎月いくら返済しているのかが分かるとよいです。
金融機関からの借入では、契約書や返済予定表があるのが通常です。
取引先の未払いや税金の未払い等は、請求書や督促状で把握することができます。
4 会社の商業登記
会社の商業登記では、会社の設立日や代表取締役以外に役員がいるか、どのような業種で本店所在地がどこか等が分かります。
弁護士が法務局を通じて取得することもできますが、会社の基本的な情報になりますので、最初の相談の段階である方が、スムーズに会社の現状が把握できます。
5 資料が足りなくても早めにご相談を
中には、資料がなかなかそろわないからと相談が先延ばしになる方もいらっしゃいます。
しかし、相談が遅れて資金繰りがさらに悪くなると、本当は事業を続けていける可能性があったのにその機会が失われる等、大きな問題が生じることもあります。
資料に一部足りないものがあっても、早めに相談して方針を固めつつ、資料集めを進める方がよいでしょう。
会社破産について弁護士選びのポイント
1 会社(法人)破産と個人破産との相違
どちらも最終的に、裁判所から決定を得て、債務(借金)をなくすことが目的であることは同じです。
個人の場合には、同時廃止という簡易な手続きが認められていますが、会社(法人)の場合は、原則として管財事件となり、破産管財人との協働が求められます。
会社(法人)破産と個人破産では、債権者の数と属性に大きな違いがあります。
個人の場合は、金融機関のみであることがほとんどで、数は多くても20に達することは滅多にありません。
会社の場合は、金融機関のほか、取引先(買掛金債権者、会社破綻に伴う契約金返還請求権者等)、従業員(給与債権者)等も含まれ、債権者数が100を超えることもしばしばあります。
また、会社(法人)破産の場合、事業の性質に応じて、純粋な破産事件処理以外の雑多な対応を行う必要が生じます。
消費者被害事件や労使紛争が存在している場合は、それらについても関与する必要があります。
入院患者を抱える病院など事業継続が求められる場合は、引継ぎをどうするかについて考えなければなりません。
会社(法人)破産は、個人に比べて社会的な注目を集めやすく、マスコミ対応が必要となることも珍しくありません。
加えて、会社(法人)は、通常一定の財産(現金、預金、債券、株式、手形、国債等)を保有し、自前の工場・設備を保有していたりすることもあることから、資産の内容・数・価値を把握に要する労力・時間は膨大なものとなります。
2 会社破産についての弁護士選び
前述のように、関係者が多数にわたり、様々な対応が求められます。
これを的確・迅速に行うためには、破産申立てをする弁護士が一人では非常に大変であり、複数でチームを組んで行うことが推奨されます。
あわせて、弁護士を支えるパラリーガルも複数名体制をとるべきかと思います
また、人数だけでなく、専門性も求められます。
破産法に関する知識はもちろんのこと、会社(法人)破産の実務についての知識・経験がなければ、取りこぼしなく事件処理を行うことは難しいかと思います。
以上のことから、弁護士・パラリーガルとも複数人を要し、会社(法人)破産に関する知識・実務経験のあるところが推奨されます。
現在の顧問弁護士が前記に該当しなければ、顧問弁護士と相談し、破産申立人となり得る法律事務所・弁護士法人を探すことをおすすめします。
会社破産の流れ
1 弁護士が会社の現状を把握し、自己破産でよいか確認する
会社の破産の相談といっても、まずは本当に自己破産でよいか、自己破産が適切なのかを確認する必要があります。
状況によっては、私的整理や民事再生等他の方法が希望に沿えるケースもあるためです。
会社破産が適切かどうかは、まず、弁護士が会社の現状を把握するところから始まります。
初めての相談であれば、事業の内容、資金繰り、顧客・取引業者の数や金額、従業員や事業所を確認します。
これには、会社の決算書や通帳、資金繰り表があるとよいでしょう。
2 会社破産する日を決め、資料や費用の準備をする
現在動いている会社の破産を行う場合は、いつ事業をやめて破産手続をするか、要するにタイミングが最も重要です。
破産手続をする日は、基本的に事業をやめる日であり、取引先や関係者にも破産したことが知れる日だからです。
適切なタイミングで裁判所への申立や債権者・取引先への連絡を行わなければ、無用な混乱を招いてしまうことになりかねません。
依頼を受けた弁護士が、現在受けている仕事がいつまでかかるか、売掛金はいつ入ってくるのか、会社の資金繰りがいつまでもつか、代表者の今後の生活設計等を考慮して申立てまでのスケジュールを決めます。
会社破産には、さまざまな資料の準備や作成が必要で、費用もかかりますから、決まった日に向けて資料の準備をしたり、破産手続に必要な費用を準備します。
3 弁護士が会社の破産申立てをし、債権者等に説明・通知を発送する
事業をやめる日に、弁護士が裁判所に会社の破産申立てをします。
裁判所は、基本的に会社の本店所在地を管轄する地方裁判所になります。
たとえば四日市市内に本店所在地があれば津地方裁判所四日市支部になります。
また、弁護士は、銀行や仕入先などの債権者、従業員、顧客に弁護士が窓口になって破産手続に入った旨の通知を発送します。
これで、事業が終わったことが関係先に知れ渡り、各所から問い合わせが殺到することになりますが、弁護士が矢面に立って対応いたしますので、ご安心ください。
従業員の数が多い会社の場合は、弁護士が従業員向けに説明会を行う場合もあります。
また、破産を知った取引先や従業員が会社の備品等を持ち出したりするケースもありますので、事業所をしっかりと施錠したり、会社の財産が散逸しないよう管理を行う必要があります。
4 破産開始決定とともに破産管財人が選任される
裁判所は、破産の申立書類一式を調査し、問題なければ会社の破産開始を決定します。
破産の開始決定があると、破産管財人という弁護士が選ばれます。
破産管財人は、依頼する弁護士と別の第三者的な立場の弁護士で、裁判所が債権者の利益も考慮して手続きを進めるために選びます。
破産管財人が選任されると、会社代表者と依頼した弁護士が一緒に、破産管財人と面談を行います。
このとき、書類では伝えきれなかった内容を破産管財人に伝えたり、破産管財人の質問に答える等して会社の残務を破産管財人に引き継ぎます。
会社代表者は、破産管財人の業務に協力することが義務付けられており、面談以降も質問の回答や書類の提出を求められれば、適切・迅速に対応していく必要があります。
5 破産管財人が財産をお金にかえて債権者に分配する
破産手続きの開始決定後は、約2~3ヶ月毎に債権者集会というものが裁判所で行われ、会社代表者も出席する必要があります。
債権者集会では、破産管財人が会社の財産を調査した結果等を報告し、もし債権者に分配するだけの財産があれば、財産をお金にかえて、平等に債権者に分配します。
会社破産は、基本的に会社の全部の財産がお金にかわって債権者に分け終わるまで続きます。
不動産のように換価に時間がかかる財産があれば、手続き終了までに1年以上かかるケースもあります。
6 まとめ
事案によっては、これと異なる流れが適切なこともありますので、会社破産の流れは、会社破産に詳しい弁護士にご相談ください。
会社の置かれた状況を踏まえて、対応をさせていただきます。
会社破産をするメリットとデメリット
1 デメリット1-基本的に事業をやめなければならない
会社は破産すると、借金は0になりますが、法人格自体がなくなってしまいます。
また、破産手続きに入ると、会社の財産は全て破産管財人という裁判所が選んだ弁護士が管理するようになり、会社名義で賃借している事業所等も破産管財人によって解約されてしまうので、、その会社で事業を続けていくことはできません。
2 デメリット2-従業員は全員解雇になる
会社が破産して事業が続けられなくなれば、従業員は全員解雇することになります。
突然仕事を失うことになりますので、失業保険や健康保険の切り替え等の手続きも必要になります。
また、解雇日の30日以上前に、従業員に対し解雇の予告をせずに解雇する場合、それまでの給料に加え、解雇予告手当を支払わなければなりません。
3 デメリット3-代表者も自己破産しなければならないことが多い
会社が破産するときは、連帯保証人になっている代表者に対し、会社の債権者である金融機関が一括請求します。
会社の債務は数千万~数億円と高額な場合が多いでしょう。また、代表者は会社の破産によって収入源たる仕事も失うため、会社破産後に個人で返済を続けていくのも難しく、結果として自己破産することになるケースが多いです。
ただ、経営者保証ガイドライン等に基づく話し合いや、個人再生で、代表者が自己破産しないで済むケースもありますので、詳細は弁護士に相談することを強くお勧めします。
4 デメリット4-取引先に迷惑がかかる
会社破産をする場合、すべての債権者を平等に扱わなければならず、破産直前に懇意にしている仕入先にだけ未払いの仕入代を支払うことは出来ません。
また、お客様から代金の前払いを受けている場合や、商品券や回数券を販売した場合も、破産したからといって返金することは出来ません。
どちらの場合も、破産管財人が会社の財産をお金に換えた結果、債権者に配当が行われるケースもありますが、配当金額は債権額の数パーセント程度ということがほとんどです。
5 メリット1-取り立てが基本的に止まる
会社が破産せず社長自身で事業をやめるだけなら、金融機関や取引先から厳しい取り立てを受けるのが通常です。
弁護士に会社破産を依頼し、弁護士が窓口になる旨の通知が金融機関や取引先に届けば、基本的に取り立ては止みます。
6 メリット2-全ての借金がなくなる
会社破産では、金融機関からの借入や仕入先・外注の未払いだけでなく、会社の税金や社会保険料も含めて支払義務がなくなります。
個人の場合は、破産をしても税金や社会保険料の支払義務を免れることは出来ませんが、法人の場合は、破産によって法人格がなくなるので、税金や社会保険料も請求する先がなくなるからです。
多くの代表者が、資金繰りの悩みから解放されて楽になったとおっしゃいます。
これで次の仕事に就いて新たな一歩を始めることができます。
7 メリット3-給料未払いがあっても立替払を受けやすくなる
会社の従業員の給料が未払いで破産すれば、独立行政法人労働者健康安全機構の立替払制度が利用できることが多いです。
賞与や解雇予告手当は立替払制度の対象となりませんが、給料や・退職金といったものは対象となります。
参考リンク:独立行政法人労働者健康安全機構・未払賃金の立替払事業
破産せず廃業した場合でも使えるケースはありますが、手続きや要件が複雑で、従業員自ら動かなければなりません。
会社破産では、破産管財人の証明を通じて未払給料の立替払がスムーズに行われることが多いです。
会社破産で必要な費用
1 会社破産にかかる費用
破産を検討される経営者の方は、資金繰りに困っている方がほとんどですが、破産をするのにも費用がかかります。
会社破産をするための費用としては、大きく分けて①裁判所に納める予納金と②申立代理人弁護士への弁護士報酬が必要になります。
また、従業員の解雇を伴う場合には、③解雇予告手当や未払いとなってしまう給与、退職金のうち、どの程度支払いが可能かどうかについて検討する必要があります。
2 予納金
予納金は、裁判所が定める破産に必要な費用です。
破産手続きにおいては、官報による公告が必要になるため、官報公告費という手数料が発生します。
また、破産管財人の活動費と報酬が必要になります。
破産管財人は、裁判所が選ぶ第三者的立場の弁護士で、会社の財産が残っていればお金にかえて、債権者の皆さまに平等に配当する仕事をします。
破産管財人の活動費と報酬については、会社の規模や財産の内容、債権者の数等によって異なりますが、20万円から60万円以上になります。
予納金が20万円で済む場合は、少額管財事件と言い、事業所の明渡しが終わっている、不動産や在庫商品が残っていない、不適切なお金の流れがない等、破産管財人の業務が少ない案件です。
少額管財事件の要件を満たさない案件は、通常管財事件と呼ばれ、予納金が場合によっては、数百万円以上となることもあります。
3 弁護士報酬
弁護士報酬についても、会社の規模や財産の内容、債権者の数等によって異なります。
事業をやめてから時間がたっており、金融機関や税金くらいしか債権者がいないのであれば、30万円程度で済むこともあります。
一方、従業員の給料未払いや、明渡しが終わっていない事業所がある場合や、取引先が何十社といる場合は、100万円を超えるのが通常です。
これについては、明確な基準を立てることは難しく、資料等を確認した上で、破産申立てへのスケジュール等を考慮することになります。
4 労働債権等
会社が破産する場合、基本的に従業員は全員解雇せざるをえません。
この場合、最後の給与や退職金については、一部が未払賃金立替制度によって支払われることになりますが、即時解雇の場合の解雇予告手当についてはこの制度が使えません。
解雇予告手当は、突然仕事がなくなり収入がなくなる従業員の生活を保障するために会社が支払うべきお金で、おおむね従業員の給料1ヶ月分です。
解雇予告手当を払えなければ会社破産ができないわけではありません。
しかし、未払賃金立替制度による支払も従業員の手元に支払われるまで日数がかかることもあるため、従業員の生活を考えれば、解雇予告手当の支払いができるよう確保したいところではあります。
5 資金繰り等にお悩みの方はご相談ください
会社破産の費用については、会社の規模、財産の内容、債権者の数や従業員の数等によって異なります。
相談をしないまま、お金が尽きてしまうと、手続きができなくなってしまう場合もあります。
破産するかどうか決めかねている段階でも、一度お早めに専門家にご相談ください。
四日市近郊で資金繰り等にお悩みの方は、弁護士法人心にお問合せください。
債務整理の相談については、相談料無料で承っております。