会社破産と財産の処分に関するQ&A
会社破産と財産の処分に関するQ&A
Q破産直前に会社の財産を処分してもよいですか?
A
適切な値段と方法であれば、処分しても問題ありません。
1 会社の財産を処分したい例‐明渡しに必要、申立費用の捻出に必要、代表者が使い続けたい等
会社が破産する場合、基本的に、事業はやめて事業に使っていた店舗や工場を明け渡すことになります。
店舗内には在庫商品や様々な備品があるでしょうし、工場内には製造に使う機械類が残っていることもあるでしょう。
事業所を明け渡す際には、中にあるものを何らかの方法で処分しなければなりません。
また、会社が自己破産するには相当の費用がかかりますが、機械類や自動車を売却した額が数十万円になれば、それを申立費用に充てることができます。
そのため、事業所の明渡しのためや、申立費用を用意するために、会社の財産を処分することは可能となっております。
2 基本は相見積もりをとって高い方に売却する
ただ、たとえば100万円の価値がある機械を無償で譲ってしまうことは、破産手続きとの関係では禁止されています。
機械が残っていれば、破産管財人という裁判所が選ぶ弁護士が現金100万円にかえて債権者に配当できたため、0円であげると債権者を害したことになるからです。
その結果、代表者が免責されない(借金が残る)、代表者に損害賠償請求される等の問題が生じる可能性もあります。
そこで、破産直前に会社の財産を処分する場合は、適切な値段であること、売った相手が適切であることを示す必要があります。
具体的には、2社以上に相見積もりをとって、高い方に売却する等とすることが必要です。
3 親族に名義変更する場合も適切な対価を受け取る必要がある
小規模な会社の場合は、会社名義の財産を、会社が破産した後も代表者が使い続けたいというケースがあります。
この場合、会社代表者の親族が買い取ることも検討できますが、やはり価値のあるものを0円であげるわけにはいきません。
第三者に売る場合よりも値段が不適切に低いと疑われやすいので、やはり相見積もりを取って、それよりも高い値段で、実際に売買代金を受け取る必要があります。
仮にご親族にお金を借りていても、借金と相殺して売買代金をもらわない等の行為をしてしまうと、偏頗弁済といって、親族の借金だけ優先的に返すという破産法が禁じている行為をしてしまうことになります。
そのため、親族に名義変更する場合等であっても、実際に適切な対価を受け取る必要があることに注意が必要です。
4 自分で処分せず管財人に任せることも検討する
会社の財産は、必ず代表者ご自身が処分しなければならないわけではありません。
先に挙げたような必要性がなければ、破産管財人に処分を任せることもできます。
ご自身で処分するのがよいか、破産管財人に任せるのがよいかは、弁護士までおたずねください。