会社が破産した場合の未払いの給料に関するQ&A

会社が破産した場合の未払いの給料に関するQ&A

Q会社が破産した場合、未払いの給料はどうなりますか?

A

1 未払い給料の地位

 未払いの給料、すなわち給料請求権は、一般の貸付金債権や売掛金債権と比べて、優先的な地位が保障されています。

 まず、破産手続開始前3か月間に発生した会社の従業員の給料請求権は財団債権となります(破産法149条1項)。

 財団債権とは、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権のことです(破産法2条7号)。

 財団債権は、破産管財人が確保した会社の財産から配当手続によることなく弁済を受けることができる債権、とご理解いただければと思います。

 つまり、一般の破産債権より優先して弁済を受けられるということです。

 財団債権には破産管財人の報酬や公租公課(税金や国民健康保険料等)等があり、財団債権の中でも優先順位はありますが、破産会社に財団債権を十分弁済できるだけの財産があれば、破産手続開始前3か月間に発生した給料債権については弁済を受けられることになります。

 

2 給料請求権とは

 給料請求権には、労働の対償として使用者(会社)が労働者(従業員)に支払うすべてのものが含まれます。

 その名称は問いません(労働基準法11条)。そのため、基本給のみならず、役職手当や扶養手当等も、それが労働の対価として支給されているものであれば、財団債権としての給料請求権に含まれることになります。

 

3 破産における退職金の取り扱い

 退職金(破産法では「退職手当の請求権」とされています)についても財団債権についての規定があり、まず、破産手続開始前に退職した場合は退職前3か月間の給料総額に相当する額が財団債権となります。

 また、破産手続開始後に退職した場合は、退職前3か月間の給料総額に相当する額、または破産手続開始前3か月間の給料総額に相当する額のいずれか多い額が財団債権となります(破産法149条2項)。

 

4 財団債権に該当しない場合

 財団債権に該当しない給料請求権または退職手当請求権は、優先的破産債権となり、一般の破産債権に優先して配当を受けることができます。

 これを優先的破産債権といいます。

 つまり、破産会社に財団債権総額を超える財産がある場合、その超えた部分については破産債権者への配当に充てられることになりますが、優先的破産債権は、(無担保の)貸付金や売掛金等一般破産債権に優先して配当を受けることができます。

Q破産手続きの中で従業員が未払い給料の支払いを受けられない場合、何か救済制度はないのですか?

A

 給料が未払いのまま会社が破産した場合、未払い給料の一部を立て替えてくれる国の制度があります。

 これを、未払賃金立替払制度といいます。

 立替払の対象となる未払賃金は、従業員が退職した日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当のうち、未払となっているものです(賞与は含まれません)。

 この制度では、立替払の対象となる未払賃金の8割について立替払いを受けることができますが、その金額については、退職時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限が設けられています。

 詳細は弁護士にご相談ください。

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