建設業の倒産について

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2024年02月08日

1 建設業の倒産が増加している

 建設業は、新型コロナウイルス感染症の流行以降、倒産が大幅に増えている業種です。

 木材や鉄骨などの建築資材の高騰、建築士や施工管理者などの人材が不足して建築工事の受注や施工ができないことが主な要因となっています。

 新型コロナウイルス感染症の蔓延当初は、いわゆるゼロゼロ融資が受けやすかったものの、元本の返済が始まり、新たな融資を受けるのも難しくなっていえることから、資金繰りに窮する会社も多く見受けられます。

2 倒産の種類

 倒産には、破産や民事再生といった法的整理のほかにも、手形不渡りや夜逃げなど、事実上事業が終わった場合も含みます。

 夜逃げとなると、下請けや仕掛中の工事も含めて大きな混乱が起こってしまうので、借金が払いきれずに事業をやめたい場合には、弁護士に依頼して自己破産をするのが一般的です。

 借金を大きく減額してもらえば利益で返済可能で、事業を続けられるという場合は、破産ではなく民事再生という手段を選ぶこともあります。

 ここでは、建設業の会社が破産する場合の特徴を中心にお伝えします。

3 仕掛工事の扱い

 建設業の倒産の特徴は、多数の関係者がいる仕掛工事が残っているケースが多いことです。

 工事を同業者に引き継いでもらえるよう手配したり、元請がいる場合は元請に他の引受先を見つけてもらったりすることもあります。

 あと少しの工事で完成させられるのであれば、仕掛工事が残らないようにスケジュールや資金繰りを調整して完成させることも多いです。

4 資材の処分方法の検討

 建設業では、使わなかった材料を賃借している土場や倉庫に保管しているケースが多くあります。

 破産するにしても、賃借している土場や倉庫を明け渡す必要はありますので、使わなかった資材は同業者等に売れるかどうか、産業廃棄物として処分するしかないのなら費用や処分方法はどうするかを検討しておく必要があります。

5 建設業の倒産に通じた弁護士に早めの相談を

 すぐに倒産しないとしても、資金繰りが難しいと思った段階で早めに弁護士に相談することが大切です。

 早く相談すれば事業を続けることができたり、やめるにしても仕掛工事を減らすよう段取りできたりすることもありますが、相談が遅れると選択肢は減ってしまい、多くの関係者に迷惑をかけることになりがちです。

 会社が倒産した後でも、外注や資材の仕入をしない一人親方として、引き続き建設業界に身を置く方も大勢いらっしゃいます。

 今後の選択肢を広げておくためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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