会社破産での取引先への対応

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2025年02月28日

1 会社破産で取引先対応が重要な理由

 取引先は、顧客(破産する会社がお金をもらう側)と仕入先や外注先(破産する会社がお金を払う側)に分かれます。

 いずれも、会社が破産した後の社長の就職先になったり、個人事業主として今後もお付き合いができることもありますので、誠実な対応を行うことが重要です。

 対応を誤ってしまいますと、今後のお付き合いに支障が生じてしまうだけでなく、取引先側が社長の自宅や事業所に押しかけて強引な取り立てをしたり、刑事告訴したりといった対応に出られることもあります。

 会社破産では、取引先への対応はとても重要になります。

2 仕入先・外注先への対応は弁護士に任せることが大切

 破産手続きが完了して完全に財産がなくなってしまう前に、付き合いの深い取引先に対してだけでも支払いを行ってしまいたいとお考えの経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、会社破産を弁護士に依頼した後に、特定の仕入先や外注先に対して支払いを行うことは、偏頗弁済(へんぱべんさい)という行為に該当する可能性があります。

 偏波弁済と見なされてしまいますと、取引先に支払った金銭は裁判所が選ぶ破産管財人が取り返すことになりますので、支払った意味がなくなるだけでなく、取引先に対し破産管財人への対応を強いるだけになってしまうおそれがあります。

 破産手続き開始後は、仕入先や外注先に対する支払いはせず、基本的には依頼した弁護士に対応を任せることが大切です。

 また、一部の取引先に対してのみ、事前に破産を告知することも望ましくありません。

 取り付け騒ぎの原因になったり、計画倒産を疑われる原因にもなるためです。

3 顧客には、次の取引先を紹介したり、破産管財人に売掛金を払うよう連絡することもある

  顧客に対しては、今後どこからサービスを受けたり仕入をすればよいか、破産する会社に払うべき代金をどうすればよいかが問題になります。

 破産する会社の財産は、基本的に裁判所が選ぶ破産管財人という弁護士が管理するようになります。

 破産する会社に入金されて、債権者の銀行に取られると問題ですので、破産管財人に支払うよう連絡することが多いでしょう。

 次の取引先候補の紹介ができるなら、紹介することもあります。

4 まとめ

 このように、破産手続きにおいては社長がよかれと思って行ったことが、破産手続きを困難にしてしまったり、取引先に迷惑をかけることになってしまったりする可能性があります。

 しかし、慎重かつ丁寧な対応と説明を行えば、破産手続き後も良い関係を続けていける可能性もあります。

 取引先対応につきましては、依頼する弁護士と相談しながら慎重に行うことが大切です。

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