会社破産をすると個人資産はどうなるか

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2022年09月14日

1 会社が破産しても、保証人でない限り基本的に財産はとられない

 会社が破産すると、代表者やご親族個人の財産はどうなるのでしょうか。

 まず、会社と代表者やご親族個人は別人格ですから、基本的に会社が破産しても個人の資産がとられることはありません。

 ただ、会社の借入の保証人になっている場合は、会社が借入金を払わない以上、代わりに払う必要がありますから、個人資産がとられることも多いです。

 特に、会社代表者は、会社の借入・リース・事業用物件の賃貸借契約等の連帯保証人になっているのが通常ですので、代表者の連帯保証債務の対応が必要になります。

2 連帯保証人である代表者の対応

 連帯保証人は、会社が破産して何の対応もしなければ、全額一括請求され、個人の資産を全部とられることになりかねません。

 そこで、連帯保証人である会社代表者は、自己破産、個人再生、経営者保証ガイドライン等の対応をとって、借入の支払を免れたり減額してもらうのが通常です。

 個人資産がどうなるかは、これら対応方法によって異なります。

3 自己破産の場合

 自己破産では、借金が0になる代わりに、生活に必要最小限の財産しか残りません。

 不動産や解約して多額が返ってくる保険等は残りません。

 一方、20万円を下回る預貯金や家財道具、掛け捨ての保険は残ります。

4 個人再生の場合

 個人再生は、裁判所に申請して借金を減額してもらい、分割で払う手続きです。

 リースや所有権がローン会社にある車は残りませんが、住宅ローンのある自宅や、解約して多額が返ってくる保険でも残せることが多い点にメリットがあります。

5 経営者保証ガイドラインの場合

 経営者保証ガイドラインは、金融債権者との話し合いで、保証債務を減額してもらい、自己破産より多くの資産を残すことを可能にするものです。

 数百万円の資産が残ったり、華美でない自宅が残ったりするケースもあります。

6 まとめ

 会社が破産しても、保証人でない人の資産はとられません。

 だからといって、破産直前に保証人である代表者から、保証人でない配偶者等に名義をかえただけでは、破産管財人の否認権行使等の裁判で取り返されますから、勝手に財産を動かすのは避けましょう。

 保証人である代表者等は、会社破産後のライフプランや財産状況等によって、とれる方針や残る個人資産がかわりますので、会社破産と合わせて弁護士にご相談ください。

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