会社破産をする場合の株主への対応

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2022年09月12日

1 会社が破産しても、原則として株主は支払義務を負わない

 会社が破産するときの株主に対する対応を考えるには、会社が破産することで、株主にどういう影響があるかを知る必要があります。

 まず、株主は、会社が破産しても、基本的に会社の借金を支払う義務を負いません。

 株主は、有限責任といい、出資した金額の範囲内でしか責任を負わない制度になっています。

 そのため、上場会社では一般人でも気軽に投資できるのです。

2 会社が破産すると、基本的に株主が出資したお金は返ってこなくなる

 株主は、株式を売却することで、出資したお金を回収する権利があります。

 ただ、会社が破産すると、株式の価値は0になりますから、株式を売却することで回収することはできなくなります。

 また、株主は、会社が事業をやめるときに、会社の負債を全部払い終わっても財産が残っている場合は、残った財産から出資したお金を回収する権利があります。

 ただ、会社が破産するときに、会社の負債を全部払い終わることはほぼありませんから、残った財産から出資したお金を回収することはできなくなります。

3 会社が破産するとき、基本的に株主に連絡する必要はない

 では、会社が破産すると株主の権利がなくなるからといって、株主に事前に会社が破産することを連絡することは基本的にありません。

 事前に会社が破産することを連絡すれば、その情報が債権者に広まって取り付け騒ぎになったり、会社が破産することを連絡した後に仕入れや外注に仕事を頼めば、詐欺に当たると言われかねません。

 会社の破産を株主に知らせることは、会社破産を難しくする原因になります。

 会社の債権者全部に支払いができないから破産している以上、株主はお金を払い戻してもらえないわけですから、基本的に株主が破産手続に参加することはありません。

 そのため、株主に会社破産を知らせる必要性もあまりありません。

4 まとめ

 株主は、会社の破産が始まっただけで株主でなくなるものではありませんが、会社の破産が終わった会社が解散すると、株主としての地位もなくなります。

 会社破産においては、株主は、お金を払うことももらうこともないため、上場会社でもなければ、あえて最後まで連絡しないことも多いと思われます。

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